社会医療法人 将道会 救急指定病院

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総合南東北病院 → 広報誌 → みな・みな・ねっと 2009年3月号 → うっ血性心不全・慢性腎臓病と貧血

みな・みな・ねっと

うっ血性心不全・慢性腎臓病と貧血

総合南東北病院 循環器科科長 黒羽正男

 心不全とは、心筋の障害によりそのポンプとしての機能が低下し、末梢主要臓器に必要なだけの血液量を送ることができない状態であり、肺または全身に血液のうっ滞(うっ血)をきたし呼吸困難や浮腫が出現して、日常生活に支障を生じた病態であります。うっ血を伴うのでうっ血性心不全ともいいます。心臓のポンプ機能は、心筋自体の収縮力だけで決まるものでなく、心臓にかかる負荷の変化に応じて、神経・体液性調節因子により迅速に心収縮機能を変化させて対応しており、また長期にわたる負荷に対しては心筋細胞の蛋白レベルでの再構築により対応しております(これを心室リモデリングといいます)。うっ血性心不全では、交感神経系、レニン・アンギオテンシン系、炎症性サイトカインなどの神経・体液性調節因子の適応機転の破綻が主因であり、単に心筋収縮力が低下しているだけでないことが明らかになりました。

 このような側面から、最近うっ血性心不全、慢性腎臓病、貧血が相互に影響しあってさらに悪化することが示されました。図に示すように、うっ血性心不全では、心拍出量の低下に伴い腎血液量も減少し糸球体ろ過率が低下し腎機能が悪化してきますし、また炎症性サイトカインの上昇が骨髄抑制、腸管からの鉄吸収の阻害などにより貧血を進行させます。慢性腎臓病では、体液貯留・血圧上昇により心不全を悪化させ、腎造血因子の低下で貧血となります。貧血は過度に高心拍出量を維持するために心不全を誘発し、組織の虚血により腎機能を悪化させます。これら三者が、悪循環のcycle(一方向性)でなくcircle(両方向性)を形成しているのです。これを、心・腎・貧血症候群(CRA=cardio-renal anemia症候群)と呼んでおります。

 また、うっ血性心不全の患者さんの半数以上は、慢性腎臓病を合併しており、腎機能障害は心不全の病態をさらに悪化させ、逆に心不全は腎機能をさらに悪化させ、互いに予後を悪くしております。慢性腎臓病の患者さんでは、透析治療という非生理的な治療を続けることが心血管疾患を引き起こすものと長い間考えられておりましたが、腎機能障害の低下と伴に段階的に心血管疾患のリスクが高まって来ることがわかって来ました。慢性腎臓病そのものがうっ血性心不全・心血管疾患の危険因子であることが明らかになりました。

 以上のようにうっ血性心不全・心血管疾患慢性腎臓病は三者の中でも特に関係が深く、これは心腎連関・心腎症候群(cardiorenai syndrome)と呼ばれることもあります。今後うっ血性心不全・心血管疾患の治療には、心臓・腎臓・貧血連関の観点から最適な治療を行う環境を作ることが必要になってまいります。

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図 CRA症候群の概念図