体の変化に敏感に気づくことが病気予防の第一歩 ~そのためには~
健診事業本部長 今井 嘉一
病気のことなど、それほど気にならなかった30代、なんとか無理のきいた40代、でも50歳を越えたら年齢とともに増えてくる体重や血圧の値、いやそればかりでなく腹囲や脂質、肝機能や血糖値なども・・・。そうなると、病気への心配が増えていき、今までの自信はどこへやら。そのままいけば、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、もっと重大なことになれば脳卒中、心疾患やがんがすぐそこには迫っているかもしれません。
人生100年、健康な生活を続けていくためにはどうすれば良いのでしょう。これから良くなるも悪くなるも、そんなことを感じた「今」が健康を考える分岐点ではないでしょうか。
日本人の死亡原因の3位までを占めているのは、がん、脳卒中、心疾患です。これらはよほど特別なことがない限り、ある日突然、前触れもなく病気になるわけではありませんね。どんな病気でも、わずかながらの兆候、いわゆる体の変化・サインがあるはずで、それらに気づけば大事に至らずに、早めに処置すれば予防することもできるのです。
激痛、麻痺や嘔吐、発熱、吐血など「明らかな症状」が出たらまず医者に診てもらうのが基本ですが、ほんの初期の段階、前触れ程度では、それが病気の前兆だと気づくことはなかなか難しいといえるでしょうし、「どんな症状?」と言われると非常に曖昧です。そんな兆候を見逃さないようにするためには、「いつもとなんか違うな」というカンやヒラメキのような感覚を感じ取ることが大事だと言われていますが、普段からどんなことに気をつければ良いのでしょうか。
それは、「自分の体について今の状態を客観的に知っている」こと。言い換えれば、今の自分の健康がどんな状態かを把握し、今後起こりそうな状況を漠然とでも予想しておくことです。では、どうしたら自分の体のことを「客観的に」知ることができるのでしょうか。
それは、ずばり「健康診断」です。車でいえば点検、それも「定期点検」。故障や不具合を起こしそうな部分、摩耗したり錆びついたところをチェックし、今後発生しそうな状況を予測して、様子を見るのか、早めに処置した方が良いのか等について知っておくことが大切でしょう。
車の点検にも多くの種類があるように、健康診断といっても様々な内容のものがあります。健康診断は、企業定期健診のような法律で定められた健診もありますが、任意の健診には血液検査程度だけの基本的な健診から、生理機能検査や画像検査を含む広範囲で多様な種類の検査を行う人間ドックのような全身的な健診までと種類が豊富です。そしてその種類によって内容と料金がかなり異なっています。
では、健康に不安を感じた今、どんな健診を選べば良いのでしょうか。
体の総合メンテナンスを希望される方には、「人間ドック」がお奨めです。人間ドックは、基本的には約半日の検査で、体全体をおおよそチェックしてくれる健診です。他に、ここが気になる、これが不安だ、と具体的に心配するところがあれば、そこを詳しくチェックするオプション(追加)検査もありますので、それらを組み合わせたオーダーメイドの健診をお勧めします。
当院で行っているオプション検査には次のようなものがあります。脳梗塞や脳卒中が心配であれば脳ドック、心筋梗塞や不整脈などの心疾患を詳しく検査するのであれば循環器検診、婦人科のがんに対しては乳がん検診や子宮がん検診、がん全般であればPET検診、消化器の場合は大腸の内視鏡検査などです。これらは、人間ドックに組み合わせて、1日(PETと大腸内視鏡の場合は2日)で検査することができます。料金もそれぞれ異なっていますので、健康について心配な点と照らし合わせて決めると良いでしょう。
しかし、あまりに種類が多くて、自分に最適な検査がどれなのか分からない方も多いはずです。そんなときは、当院の健診センターにぜひお問い合わせください。皆さんのご希望に合った健診がきっと見つかるはずです。