薬局だより
予防接種について②
薬局 薬剤師 梶原 光太
今月のテーマは先月に引き続き予防接種についてです。現在流行している風疹について、皆さんはどのくらいご存じでしょうか?
●風疹ってどんな病気?
風疹は風疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染です。ウイルスに感染してから症状が現れるまで2~3週間程度かかります。
主な症状は発熱、赤い発疹、リンパ節腫脹です。発疹は顔から現れ、体や手足に広がっていきます。通常は3~5日程度で消失します。リンパ節腫脹は発疹の現れる数日前から現れ、耳や首の後ろのリンパ節が腫脹します。
症状は比較的軽く、特別な治療方法はないため、発熱や関節痛などに対する対症療法が基本となります。自然に治ることも少なくありません。
風疹は、一度感染し治癒すると大部分の人は終生免疫(生涯風疹にかからない)を獲得します。
●なぜワクチンを接種するの?
風疹感染で一番の問題となるのは妊婦の感染です。妊婦が感染した場合、胎児が眼疾患や心疾患、難聴などを負う「先天性風疹症候群」になる可能性があります。妊娠してからワクチンを接種する事はできないので、あらかじめ予防接種を受けておく必要があります。
また、脳炎や血小板減少性紫斑病といった合併症を起こすことがあります。
●
・・・発熱、嘔吐、頭痛、けいれんなどを症状とし、意識障害を伴う。重症例では昏睡となる。
●
・・・止血の際に働く血小板が減少し、出血しやすくなる疾患。出血の部位によっては生命が危険になることもある
●風疹を予防しよう!
1回の予防接種ではまれに免疫がつかない人もいるため、現在では小学校に入学するまでに2回の定期接種が行われています。しかし、これまで風疹ワクチンの接種制度が何度も変わったため、20歳以上の人の中には1回しか接種していなかったり、全く接種していない人が存在します。風疹の予防は自分のためだけではなく、周りの人のためにもなりますので、これまでの接種状況の確認を行い、接種回数が不十分な場合はワクチンの接種を行いましょう。
ワクチンを接種したかどうか分からない場合は、風疹の抗体検査を行う事ができます。風疹にかかったことがある場合や、ワクチンを2回接種したことがある場合でも、数十年経過するとまれに抗体が弱まってしまう人がいますので、抗体検査をお勧めします。
女性の場合は妊娠していない時期にワクチン接種を行い、接種後2か月間は避妊が必要です。
*風疹の抗体検査とワクチンの予防接種は各自治体によって助成の対象が異なりますので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。