ワンポイントリハビリ
日常生活動作におけるひと工夫 ~より良い床からの立ち上がりのために~
リハビリテーション科 作業療法士 高梨 哲
近年では、住宅の洋式化や起き上がり・立ち上がり動作の容易さ、布団の上げ下ろしの負担軽減などの目的でベッドを利用する人が増えてきました。寝起きの容易さを考えると、身体機能の低下した高齢者にとってベッドでの就寝の方が適していると言えますが、環境を変えることに抵抗のある人、適応の難しい人は少なくありません。そこで今回のワンポイントリハビリでは、床からの立ち上がりに必要な身体の状態や環境の整え方について述べたいと思います。
○身体の状態
①股や膝、肩、手首の関節に強い痛みがないこと。
*痛みがあることで力が入らなかったり、急な脱力を起こしたりと動作の途中でバランスを崩す危険性があります。
②両脚の機能や両腕の支えがあること。
*痛両脚の筋力が落ちている方でも、両腕の支えで補助することで立ち上がれることもあります。
③立っている時のバランス能力があること。
○環境の条件
①足元が安定していること。
②支えるものにつかまって立ち上がる場合、支えるものが安定していること。
③立ち上がった後の移動動線に対する環境も整っていること。
○環境の条件で挙げられた②をお手伝いする福祉用具の一例
●置き手すりの使い方として、手すりまで座位移動または手足移動で近づき、手すりや台を支えにして段階的に立ち上がります。
●手すりについてご質問などありましたら、リハビリテーション科の職員に気軽にご相談ください。