薬局だより
風邪とインフルエンザ
薬局 薬剤師 梶原 光太
だいぶ寒くなってきましたが、皆さんは体調を崩さずに過ごせていますでしょうか?この時期になると流行し始めるのがインフルエンザです。今回は風邪とインフルエンザの違いについてお話しようと思います。
●風邪とは?インフルエンザとは?
一般的に『風邪』と呼ばれている病気は、上気道の症状(鼻汁・鼻づまり・くしゃみ・咽頭痛・咳など)を呈し、異なる種類に属する多数のウイルスによって引き起こされる症候群のことです。『急性上気道炎』と呼ばれることもあり、特別な治療を行わなくても自然によくなることが特徴です。
一方、『インフルエンザ』はインフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患で、38~40℃程度の高熱や倦怠感、関節痛などの全身症状が強く現れるのが特徴です。治療には抗インフルエンザ薬を決められた日数使用します。
風 邪 | インフルエンザ | |
上気道症状※1 | あ り | あ り |
全身症状※2 | 軽 度 | 重 度 |
発 熱 | なし~高熱まで様々 | 38~40℃の高熱 |
原因ウイルス | ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなど | インフルエンザウイルス |
治 療 | 多くが自然治癒 | 抗インフルエンザ薬 |
※1:鼻汁、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みなど
※2:筋肉痛、関節痛、悪寒、倦怠感など
●風邪の治療
風邪の症状が強い場合は、薬剤による対症療法(病気を治すのではなく症状を抑える)を行います。くしゃみ、鼻汁、咳、発熱、のどの痛みなどの症状に応じた薬剤を使用します。原因の多くはウイルスのため、ウイルスによる風邪には抗菌薬は効きませんが、風邪で体が弱ったときの二次感染を防ぐ目的などで抗菌薬が処方されることがあります。抗ウイルス薬は特定のウイルスにしか効果がないものが多く、風邪の原因となるウイルスは数百種類とも言われているため、風邪のために抗ウイルス薬を作るよりも数日安静にしている方が現実的なのです。
●インフルエンザの治療
インフルエンザに対しては、現在4種類の抗ウイルス薬が使用されています。従来から使用されているタミフルとリレンザに加えて、1度の吸入で治療が終了するイナビル、点滴で投与するラピアクタというように、薬の種類が増えてきたため、患者さんの状態に合わせた治療が可能になってきました。
また、インフルエンザは流行前にワクチンによる予防も大切です。13歳以上では1回の接種で十分な効果があると言われています。
*風邪、インフルエンザ共に、手洗いとうがいによる予防が大切であることは言うまでもありません。予防をしっかり行い、今年の冬を乗り切りましょう!