認定看護師コラム
がん治療中の補完代替え療法のこと
がん化学療法看護認定看護師 佐藤 あや
米国の国立補完代替え医療センターでは、補完代替え療法について「一般的に従来の通常医療とみなされていない、さまざまな医療ヘルスケアシステム、施術、生成物などの総称」と定義され、健康食品やサプリメントのほかに灸やマッサージ療法、運動療法、心理療法なども含まれています。がん治療をされている患者さんのなかには、長い療養生活や進行状況によって、手術や薬物療法、放射線治療といった標準的治療のほかに「民間療法」等といわれる補完代替え療法に関心を持たれる患者さんも少なくありません。
厚生労働省がん研究班が行った調査では、がん患者さんの45%の方が何らかの補完代替え療法を利用されているということが明らかになりました。補完代替え療法の利用にあたり平均して月に約5万7千円を出費しており、利用している内容は健康食品、サプリメントが最も多いという結果が出ました。また、利用したきっかけは家族や友人からの勧めが77.7%で、自らの意志23.3%を上回っていました。
補完代替え療法に関する情報は書籍やインターネットで簡単に手に入ります。しかし、始める前にはそれらの情報源は信頼できるものなのかを確かめ、ぜひ医療者に相談されることをお勧めします。補完代替え療法には、治療効果を高める効果が化学的に証明されているものはないといわれています。そしてなかには抗がん剤へ与える影響を否定できないものもあるのです。
補完代替え療法を考える際には
・この補完代替え医療はここち良いものか。
・この補完代替え療法の施行時間は、長すぎないか。
・この補完代替え療法を行うのに、通院距離は遠くないか。
・この補完代替え療法を行うのに、お金はかかりすぎないか。
これらのことを踏まえて検討してみることが必要です。
患者さんの中には、補完代替え療法について医療者に相談しにくいと思われている方もいるかもしれません。しかし「補完代替え療法は患者さんががんを克服するために自分でできることをやりたいという気持ちをもとに選択されている」ことを私たちも理解しています。いま考えている補完代替え療法について安全性に問題がないか、一緒に考えていきましょう。