ワンポイントリハビリ
糖尿病の運動療法について
リハビリテーション科 理学療法士 夏井 優花
前回は糖尿病の病態についてお話ししました。今回は糖尿病の運動療法について紹介していきます。糖尿病の運動療法で、特に有効とされているのが、①有酸素運動②レジスタンストレーニングです。
①有酸素運動
有酸素運動とは十分な呼吸を確保しながらできる運動のことを言います。断続的に細胞に酸素を供給することにより脂肪燃焼効果を上げる全身運動です。有酸素運動により血糖の下降作用はおよそ24~48時間程度持続すると言われています。代表的な有酸素運動とはウォーキングやジョギングです。ウォーキングは30分~1時間程度を目安として行うと効果的であると言われています。みなさんも晴れた日に散歩をしたり、少し遠回りをして買い物に行ってみるのはいかがでしょうか。
②レジスタンストレーニング
筋肉に負荷をかけ、重りや自分の体重を利用して行う運動のことを言います。筋肉量を増加し、筋力を増強する効果を期待して行います。筋肉量が増えることによって、インスリン感受性が良くなり、糖の利用が増え血糖コントロールがされやすくなります。簡単にできるレジスタンストレーニングを3つ紹介します。
・スクワット
肩幅程度に足を開いて膝を軽く曲げていきます。膝が爪先より前にでないように気を付けましょう。
・頭上げ(腹筋)
仰向けに寝て、両膝を立てます。息を吐きながら、ゆっくり頭をあげておへそを見ます。
・立ち上がり運動
椅子に腰かけ、その場で「立ち上がる⇔座る」をゆっくりと繰り返します。
このようなレジスタンストレーニングは、「楽~ややきつい」程度とし、具体的には「汗がでるかでないか」「話しながら運動が続けられる」程度で、20~60分、週3回程度行うと良いとされています。運動を行う時間は、食後30分から60分程度経過してから行うのが効果的と言われています。運動習慣のない方は、無理をせず、10回を1セットから始め、徐々に回数・セット数を増やして行きましょう。