RSウイルスについて
感染防止対策室 院内感染管理者・看護師長 佐々木 みゆき
皆さんはRSウイルスをご存知でしょうか?あまりなじみのない名前のウイルスですが呼吸器感染症を起こすウイルスです。何度も感染と発病を繰り返しますが生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子供さんがRSウイルスに感染するといわれています。症状は軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。小さい子供ほど重症化しやすく肺炎や気管支喘息の原因になったりもします。しかし、このウイルスは実は大人にも感染を引き起こします。乳幼児期に感染と発病を繰り返し、RSウイルスに対する免疫をもっているので、ほとんどの人は咳や鼻水、発熱などの症状が出た後は数日で症状は軽くなっていきます。ですから、大人の場合は風邪と勘違いしてしまうことも少なくありません。
免疫力の弱まった高齢者や糖尿病や喘息・肺気腫などの持病を持った方の場合インフルエンザと同様に重症化を引き起こす危険性があるので注意が必要です。
このウイルスはどのように感染を広げていくのでしょうか?RSウイルスに感染している人のくしゃみや咳または会話した際に飛び散るしぶきを吸い込む飛沫感染やウイルスがついている手指や手すりやドアノブといった物品に触れる接触感染で感染します。また、RSウイルスは感染後ウイルスが体外へ排出される期間が7~21日と長く周囲にウイルスをまき散らします。最近、高齢者施設で集団発生が報告されているのもこのためです。
RSウイルスは秋から冬にかけて流行するウイルスですのでこれからの季節(特に11月~12月)十分に注意をしてください。
罹患してしまった場合特効薬はありませんので予防が重要です。自分がかかってしまった場合、人にうつさないために咳やくしゃみが出る時はマスクを着用する。鼻をかんだ手であちらこちらに触らず、手を洗ってから触るようにするなどです。RSウイルスはインフルエンザのように予防接種はありません。罹患しないようにする場合は人込みを避けることや外出後は必ずうがい・手洗いを行うことが最大の防御策です。