ワンポイントリハビリ
シリーズ 高齢者について 1.高齢者の歩行
リハビリテーション科 理学療法士 鈴木 公二
今回は高齢者の歩行についてお話していきたいと思います。まず始めに、高齢者の歩行には以下のような特徴があります。
●高齢者の歩行の主な特徴
増加するもの
歩隔(歩行中の両足の幅)
立脚期(歩行中の足が地面に着いている時間)
体幹動揺(歩行中に体が左右に揺れる)
減少・低下するもの
歩行速度
歩幅(一歩で進む距離)
歩行率(一定時間に何歩進んだか)
股関節、膝関節、足関節の運動範囲
高齢になると上記のような歩行の特徴がみられます。また、65歳以降から急速に歩く速度が遅くなります。このような歩き方は、転倒しないように足の幅を大きくする事でバランスを保ちながら腰を曲げて歩き、一歩で進む距離を短くしてエネルギー消費を最小限に抑える為とされています。
●なぜこのような歩行になるのか…
これは、足腰の筋力が衰え、脊柱や股関節・膝関節・足関節の動かせる範囲が狭くなる事が1つの原因となります。また、加齢による呼吸機能・心肺機能の低下により疲れやすい体となる事が挙げられます。脳梗塞やパーキンソン病・骨折や肺炎等の疾患が原因になる事もあります。
これらの要因が重なる事で徐々に運動機会が減少し、歩くために必要な筋肉を十分に動かす事が出来なくなり、姿勢不良にも陥ります。
●歩行能力を向上させるには
歩行を安定させるには、姿勢を保つために必要な全身の筋肉をバランスよく鍛える必要があります。そのような筋肉を『抗重力筋』(図)といいます。また、足腰を中心とした全身の関節が硬くならないようにストレッチを行う事も重要です。
むやみやたらに体を動かすのでなく、目的をもって効果的に体を鍛える事が必要です。
※今後は高齢者が転倒しやすい理由や、高齢者に合わせた運動方法についてご紹介しますので、ぜひご覧ください。