骨粗しょう症の検査を受けましょう(パート2)!
整形外科 嶋﨑 睦
2017年6月号の本誌を記憶している方はいらっしゃいますか?タイトルは「骨粗しょう症の検査を受けましょう!」でした。先日、当院に新しい骨密度検査が導入されましたので、パート2としてお話しさせてください。
骨は大きく分けて2つの成分、①カルシウムやリンなどのミネラル(骨塩)と、②コラーゲンなどのタンパク質(骨基質)からできた、鉄筋コンクリートのような構造をしています。骨粗しょう症とは、①と②をあわせた骨量が減少した結果、骨が弱くなり、骨折の危険性が高くなる病気です。骨粗しょう症を診断・治療する際に、骨密度が利用されます。骨密度とは、骨を構成するミネラルがどのくらい詰まっているかの指標です。
我が国の骨粗しょう症の診断基準は、以下の3つです。
1) 弱い外力(立った姿勢からの転倒か、それ以下の力)によって発生した背骨や大たい骨の骨折がある場合(骨密度に関わらず)。
2) 弱い外力によって発生した背骨や大たい骨以外の骨折がある場合、骨密度が若い成人に比べて80%未満であるとき。
3) 骨折がない場合、骨密度が若い成人に比べて70%未満であるとき。
やっかいなことに、骨はもろくなっても自覚症状がないため、自分では骨粗しょう症とは気づかずに、骨折して初めて気づく人が多いのが現状です。当科の入院診療では、そのような方々を対象として、日々、骨折の手術をしています。大たい骨の骨折では、手術しても、残念ながら寝たきりとなってしまう方も少なくありません。
当院に導入された新しい骨密度検査は、X線を用いて、背骨と大たい骨に含まれるミネラル量を評価することができますので、骨粗しょう症の診断・治療はもちろん、歩行能力低下の原因になりやすい大たい骨骨折のリスク評価に優れています。
特に、女性は閉経後、骨密度が低くなります。女性ホルモンには骨を壊すのを抑える働きがありますが、閉経すると女性ホルモンがほとんどなくなるので、閉経後の10年間で骨密度は急激に低下します。転倒し、骨折して初めて気づく前に、まずはご自分の骨が健康かどうか、骨密度の検査を受けてみることをおすすめします。