ワンポイントリハビリ
シリーズ 高齢者について 3.高齢者に多い『骨折』
リハビリテーション科 理学療法士 阿部 里奈
今回は骨折についてお話しします。高齢者が要介護状態になる要因として、骨折は第3位に位置します。
このことは、本人の負担にとどまらず、介護する家族の身体的・精神的・経済的負担も大きくなります。
覚えておきたい!『高齢者の四大骨折』
①上腕骨上端部骨折
肩をついて転倒した、地面に手をついた力が肩に伝わった際に受傷します。若い方では交通事故やスポーツ外傷などの強い外力で生じます。
②橈骨下端部骨折
転倒の際に手を地面や床面についたときに受傷します。
手のむくみが発生しやすくなり、可動域の制限や筋力の低下が生じることがあります。
③大腿骨頸部骨折
転倒時に太ももの付け根を強く打ち付けることで受傷します。
手術では人工関節を入れることが多くなり、関節の可動域が制限されてしまいます。
④脊椎椎体圧迫骨折
“尻もち”をついて転倒したときに骨が潰れてしまうものや、明らかな外傷がないが骨がつぶれてしまう、いわゆる“いつのまにか骨折”もこれにあたります。
最大の原因は…『転倒』
日光浴不足や運動不足、飲酒・喫煙などの生活習慣因子により骨は脆弱化し、その強度は30歳代をピークに70~80歳では約20%低下すると言われています。そのため、転倒などのわずかな外力によって骨折を引き起こしやすくなります。転倒の要因は以下の3点です。
①身体機能面(筋力の低下やバランス感覚の衰え)
②生活環境面(段差やコードに“つまずいた”、濡れた路面や浴室で“滑った”)
③環境認知面(注意力の低下、認知症)
次回のテーマは、『転倒予防』です。
転倒による骨折は“寝たきり”状態になることもあります。転倒を甘く見ることなく、気をつけましょう。
これから夏になり外出する機会が増えると思います。いつまでも健康的な身体を維持するためにも、次号を参考にして対策をしてみましょう。