認定看護師コラム
「手洗い」が大切な理由
感染管理認定看護師 熊谷 亜希
風邪やインフルエンザ、食中毒など、病気を引き起こす感染症の多くは「手」を介して体内に入ることが多いと言われています。風邪をひいている人の手には、知らず知らずのうちにたくさんウイルスや細菌が付着しています。くしゃみや咳をする時に口元を覆う、鼻をかむ、鼻を手でこするなどをした後に、ドアノブや電車のつり革、パソコン、電話の受話器に触れたとします。その場所を別な人が触れて眼や鼻、口を触ったり、食事をすることで体の中にウイルスや細菌が入り増殖していきます。このようにして感染は起こります。現在流行しているインフルエンザの原因ウイルスは、ドアノブなどの環境表面で2~8時間程度生存できると言われています。そのため、様々な感染症から身を守るためには手からの侵入を遮断する「手洗い」は感染予防のために大切となります。
冬は水が冷たいので短い時間で手洗いを済ませたくなりますが、サッと流すだけでは細菌やウイルスが手に残り、効果は薄くなってしまいます。流水と石けんを使い、特に洗い残しが多いとされる指先、手の甲、親指、指の間、手首などの部分も忘れずに洗い流すことが重要です。時間の目安としては、「ハッピーバースデー」の歌を2回歌うぐらいの長さ(20秒以上)がよいとされています。また、熱いお湯でゴシゴシ洗うと皮膚の油分が奪われて、手荒れの原因となってしまいますので、快適な温度でしっかりと時間をかけて手洗いすることが大切です。毎日の外出後や食事前、排泄後などに行う手洗いを正しい方法で実践し感染を予防しましょう。