広報誌「みな・みな・ねっと」2025年2月号(鼠径ヘルニアとは?)|総合南東北病院
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広報誌「みな・みな・ねっと」

今月のトピックス

鼠径ヘルニアとは?

外科副医長 近江 将貴

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は、腹部の内臓が腹壁の弱い部分を通って、皮膚の下に飛び出してしまう状態を指します。特に鼠径部(股のあたり)の腹壁にできることから、この名前がついています。簡単に言うと、内臓が本来の場所から飛び出してきてしまう病気です。

症状

鼠径ヘルニアの最も特徴的な症状は、鼠径部に小さな膨らみができることです。この膨らみは、立ったり、咳をしたりすると目立つことがあります。膨らみは触ると柔らかく、手で押すと一時的に引っ込むことが多いです。
痛みがないこともありますが、膨らんだ部分に痛みを感じることもあります。特に重い物を持ち上げたり、長時間立ちっぱなしでいると痛みが強くなることがあります。
もし、ヘルニアの部分が腸などの内臓であり、その内臓がひねられたり圧迫されて血流が止まった場合、「絞扼性腸閉塞」と呼ばれる状態になり、強い痛みを伴います。この状態になると緊急の手術が必要であり、放置してしまうと命に関わります。

治療方法

鼠径ヘルニアが発見された場合、基本的には手術で治療します。手術方法にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは「メッシュ(網状の素材)を使った手術」です。この手術では、腹壁の弱点にメッシュを取り付けて、内臓が再び飛び出さないようにします。
手術には、開腹手術と腹腔鏡手術(内視鏡を使った小さな切開で行う手術)がありますが、最近では腹腔鏡手術が選ばれることが増えてきています。この方法は傷が小さく、回復が早いため、患者さんへの負担が少ないとされています。
手術をしない場合、ヘルニアは自然に治ることはありません。時間が経つにつれて症状が悪化することが多いため、早期に手術を検討することが勧められます。

まとめ

鼠径部に痛み、違和感を生じる場合は医師の診断を受けることをお勧めします。