薬局だより
薬と水
薬局 薬剤師 中田 真生
子供のころに、ジュースで薬を服用しようとして「薬は水で飲みなさい」と注意されたことはありませんか?今でも、薬局などで薬をもらう際は「水で服用してください」と言われることがあると思います。では、「水」であればどの水でも良いのでしょうか??今はスーパーでも、水道水・国内外のミネラルウォーターなど、様々な水があります。薬を服用する際に飲まない方が良い水はあるのでしょうか。今回はそんな薬と水についてご紹介いたします。
今回の話で問題とするのは、水の「硬度」です。一般に水は硬度が低いとまろやかな味になり、高くなると辛めの味になると言われています。日本の水は軟水が多く、海外の水は硬水が多いです。今ではスーパー等でも、硬度を表示して販売している所があります。また、硬度は味以外に、石鹸にもかかわっています。硬度の高い水では泡立ちにくく、洗顔後に石鹸カスが残る場合があります。海外など硬度の高い水の地域に行かれた際は注意が必要です。硬度の高い水を飲むと下痢を引き起こすことがありますので、赤ちゃんにはあまり飲ませないほうが良いです。
この硬度は、何を示したものかというと、水の中に含まれる「カルシウムとマグネシウムの化合物の濃度」を示したものです。硬度にも何種類かあるのですが、一般に表示されている硬度は総硬度と言われているもので、その数種類の硬度すべてを足したものです。
※この硬度に注意しなければいけない薬剤があります。
主な薬剤はビスホスホネート系と言われる薬剤です。硬度の高い水で服用すると、水の中に含まれるカルシウムやマグネシウムが薬に作用して吸収が落ちる場合があります。先に説明しました石鹸 カスも、石鹸の成分とカルシウムなどが結合し、水に溶けにくい物質となるためなのです。一部の抗生剤にも同様の作用を及ぼす場合がありますので、硬度の高い硬水は薬の服用にはあまり良くありません。よって、薬は硬度の低い軟水で飲むことをおすすめします。
ミネラルウォーターなどの硬水を飲むことは悪いことではありません。しかし、薬を飲む際は硬度を少し気にしてみて下さい。もしかすると飲み合わせがあまり良くないかもしれません。