お肉の食中毒を避けるにはどうしたらよいの?-肉の生食はとても危険です-
臨床検査科 副主任 高橋 真弓
私たちの手の平や食べ物等には、様々な種類の細菌やウイルスが存在しています。
なかでも、牛・豚などの家畜の腸内には、食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌などの食中毒菌が存在し、と畜場でお肉にする過程でお肉やレバーに付着してしまうことがあるため、生で食べるのは食中毒のリスクを伴います。
表1 ― 食中毒の原因と症状の説明
病原体 | 主な動物種 | 主な症状 |
---|---|---|
腸管出血性大腸菌★ | 牛 |
潜伏期間3~5日/発熱、腹痛、下痢(水様便、血便) |
サルモネラ属菌 | 牛、豚、羊、鶏 |
潜伏期間8~48時間/悪心、おう吐、腹痛、下痢 |
リステリア・ モノサイトゲネス |
牛、豚、鶏 |
潜伏期間 数時間~数週間(平均3週間程度)/発熱、頭痛、おう吐 |
E型肝炎ウイルス★ | 豚、イノシシ、シカ |
潜伏期間15~50日/悪心、食欲不振、腹痛、褐色尿、黄疸 |
カンピロバクター | 牛、豚、鶏 |
潜伏期間2~5日/下痢(水様便、粘液便、血便)、腹痛、発熱、悪心、おう吐、頭痛、悪寒、倦怠感 重症化すると、脱水症状が現れる。 |
★:特に注意が必要なもの
食中毒の症状は原因となった病原体によって異なりますが、多くの場合は発熱や腹痛、おう吐・下痢等の症状が現れます(表1参照)。また、感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)も病原体の種類によって、数時間~数週間と異なります。病原体に感染しても、健康な成人であれば軽い下痢や腹痛程度の症状で、多くの場合数日で回復しますが、重症化すると命に関わることがあります。特に病気に対する抵抗力が弱い小児・高齢者・妊婦(胎児)や、免疫機能が低下する疾患にかかっている方については、重症化する可能性が高いため注意が必要です。
細菌やウイルスは熱により死滅するので、加熱により食中毒を防ぐことができます。このような病原体はお肉やレバーの内部まで入り込んでいることがあるので、中心部まで火を通すことが大切です。生肉を取り扱う箸などは専用のものを使い、食べる際には必ず別の清潔な箸を使いましょう。また、生のお肉を触った後はしっかりと手を洗いましょう。