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宮城県岩沼市 社会法人将道会 総合南東北病院-救急指定病院-

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広報誌「みな・みな・ねっと」

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がん医療における遺伝子情報の活用について-その1-

脳神経外科顧問 片倉 隆一

 日本人の2人に1人はがんになります。死因のトップもがんです。今回はがん医療における遺伝子情報が診断や治療にどのように活用されているかを3回に分けてお話しします。

 まず国立がんセンターや県立がんセンターなど「がん」とひらがなで表現する場合と胃癌や乳癌など「癌」と漢字で表現される場合があります。 これは幾分意味合いが異なり、「がん」は悪性腫瘍全般を意味します。この「がん」は3つに分類され、まず「癌」は体の中で外界と接する臓器例えば食物と接する胃などの消化器や空気と接触する肺などに発生した悪性腫瘍に限定して使われます。 外界と接しない臓器例えば骨や筋肉の悪性腫瘍は「肉腫」となります。その他にこの分類に属さない血液がんや脳腫瘍などがあります。

 さて、私達の身体は両親から受け継いだ染色体上の遺伝情報を基に作られます。この遺伝情報すべてをゲノムといい、その中で身体を構成する様々な細胞の設計図の部分を遺伝子といいます。ヒトでは約23,000の遺伝子が組み込まれています。 この遺伝子による設計図からタンパク質が作られ、細胞を作る材料となります。その遺伝子に傷すなわち変異が起こるとがんの原因になります。ただ細胞が増殖していく途中にはある確率で変異は起こっています。ところがその遺伝子変異を取り除く修復システムがあり、変異したまま増殖することを防いでいます。 しかし、その遺伝子の中で細胞の分裂や増殖に関与する遺伝子に変異が起きてしまうと、細胞の分裂に歯止めがかからずがんが発生してしまいます。がんの発生にかかわる有名な遺伝子にP53があります。例えですが、サーキットを走っていた車に異常が発生すると急ぎピットに入り、修理が終わるとまたサーキットに戻りレースを続けることができます。 この遺伝子は、細胞増殖中の変異を見つけ車同様ピットに入れ修理するよう命令し正常に戻れば増殖を継続させますが、破損部位が大きいと車では廃車すなわち細胞では死へと誘導することで、異常な状態での細胞が増え続けないようにする役目を持っています。 ところがこの修復作業に大切なP53の遺伝子上に変異が発生してしまうと、今度は修復システムが働かず異常な細胞がそのまま増え続けるすなわちがんの発生になります。このようながんの発生に関与する遺伝子は、人体を構成する様々な臓器ごとに異なり現在数百のがん関連遺伝子がみつかっています。 この遺伝子の変異を起こす原因には、化学物質・活性酸素・放射線・ウイルス・タバコなどがあります。大正4年、山極勝三郎(やまぎわかつさぶろう)博士は、ウサギの耳にコールタールを塗り続けることで皮膚がんが発生することに成功し、世界で初めて化学物質が発がんの原因になることを明らかにしました。 4回ノーベル賞候補にノミネートされましたが、当時の世界情勢から受賞はなりませんでした。後世受賞させるべきだったと評価されております。ここで博士が用いたタールですが、市販たばこの包装紙にニコチンとタール量が記載されています。すなわち喫煙することは、博士の実験同様自分の肺にタールを塗ってがんの発生を促している可能性があります。 ぜひ喫煙を控えることをお薦めします。

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