認定看護師コラム
肺炎球菌ワクチンについて
感染管理認定看護師 熊谷 亜希
肺炎は、日本人の死因の第5位です。高齢者の肺炎の原因で最も多く、重症化しやすいものが肺炎球菌です。無症状のまま鼻やのどに定着していることも多いのですが、免疫機能が低下していると肺炎球菌感染症にかかりやすく、かつ重症化する危険性が高くなります。さらに、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気、喘息やCOPDなど呼吸器の持病を持っている方、血液・リンパのがんの方、脾臓を摘出した方はそのリスクが高くなると言われています。このように免疫力が下がっていても、肺炎球菌への抵抗力を高めるために肺炎球菌ワクチン接種が勧められています。
こちらの予防接種に用いられる23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNPR)は、その名の通り23種類の肺炎球菌の型に効果があるとされています。この型は、成人において重症度が高い肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めています。接種してから免疫ができるまでは約3~4週間かかります。また、インフルエンザ肺炎において最も高い頻度で検出される細菌は肺炎球菌です。インフルエンザの予防接種と併用することで、より高い肺炎予防効果が期待できると言われています。
岩沼市における高齢者肺炎球菌予防接種は、今までこのワクチンを接種したことがない65歳以上の一定年齢の方を対象に助成し、接種の機会を設けています。ただし、過去に1度でも肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、定期接種の対象になりませんので、ご注意ください。
また、ワクチンの予防効果は、時間の経過とともに低下します。そのため特に感染リスクが高い、脳梗塞や糖尿病、慢性心疾患などの基礎疾患のある方はワクチンの再接種をお勧めしています。ただし、5年以内に再接種をすると注射した部分の痛みが強く出ることがあるため、一度接種したら5年以上の間隔をあけて継続的に接種する事が望ましいです。
しかしながらワクチンを接種したからといって安心はせずに、日頃から手洗いやうがいを励行し、規則正しい生活で体調を整えていきましょう。