薬局だより
痛み止めについて
薬局 薬剤師 石田 和
今回は皆さんも良く使う、痛み止めについてお話します。鎮痛剤(ちんつうざい)とは、痛みを和らげたり、取り除いたりする医薬品の総称です。一口で痛み止めと言っても多様な薬剤が鎮痛目的で使用されています。今回はその中でも代表的な薬剤について触れたいと思います。
・非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDS)
一般的に、痛み止めといわれるものです。痛みを止める他に、炎症を抑える・熱を下げる効果も期待できます。関節痛・生理痛・腰痛・頭痛などを抑える目的や解熱剤としても広く利用されている薬です。一般の市販薬としても多くの商品が販売されています。非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDS)は体の中でシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを抑える事で、痛みに関わる物質の生成を抑制します。それにより、疼痛や腫脹、発赤、熱感を抑え、炎症を抑える作用を示します。
【良く起こる副作用とその対策】
胃腸障害・腎障害等
※なぜ胃腸障害が起こるのか?・・・
シクロオキシゲナーゼ(COX)は胃の粘膜の構成にも関与しています。このCOXの働きを抑えるため胃の粘膜障害を引き起こすと考えられています。
⇒胃の弱い人は、食後に服用するようにします。食事が出来ない場合は牛乳等を飲んだ後に服用すると良いです。
【代表的な薬剤】
ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、イブプロフェン(ブルフェン)等
・麻薬
癌による疼痛等でNSAIDSを使用しても痛みが抑えきれない(もしくは使用できない)様な時に痛み止めとして麻薬を使用する事があります。
麻薬は大脳皮質に働き、がんの痛みや外科手術時の疼痛をしずめます。癌による疼痛などで、痛み止めとして使用する場合は麻薬中毒になる事はありません。
【よく起こる副作用とその対策】
症状 | 頻度 | 発生時期 | 対策 |
---|---|---|---|
悪心・嘔吐 | およそ2/3程度 | 投与開始時期 | 一般的には吐き気止めの使用によって改善する。 |
便秘 | ほぼ全例 | 全期 | 投与初期より下剤を用いる。 |
眠気 | およそ1/5程度 | 投与初期、増量時 | 多くは一過性。過量の場合は量の調整。 |
【代表的な薬剤】
モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル等
■以上、代表的な痛み止めについて触れてきました。どんな薬でもそうですが、痛み止めも個々の患者さんに合わせて処方されていますので、決められた用法を守らなかったり、自分の薬を他人にあげる等は絶対にしないで下さい。