炎症性腸疾患
消化器内科医長 横山 直信
2023年4月より総合南東北病院 消化器内科に赴任となりました横山直信と申します。岩沼市での勤務は今回初めてとなります。地域の皆様のお役に立てますよう努力してまいります、どうぞよろしくお願いいたします。 地域へのメッセージというものも今回初めての投稿ですので拙い文章をご容赦ください。
専門が消化器内科になりますのでお腹に関したお話をさせていただきます。誰しもが下痢や、腹痛といった症状に悩まされることがあります。ほとんどが一過性の病態であり、食事や生活などを注意することで落ち着くことが多いです。
しかし、長期化する症状の場合には難病の場合もあります。炎症性腸疾患といわれ、国の指定難病として定められており、多いものとして潰瘍性大腸炎、クローン病が挙げられます。 潰瘍性大腸炎、クローン病はそれぞれ異なる特徴をもっていますが、共通した症状として下痢、腹痛、血便、腹部不快感などを認めます。貧血や体重減少、低栄養を生じ重症化した場合には緊急手術の対象となることがあります。
生活環境や、遺伝的背景、腸内環境など様々な因子が交絡し発症する疾患で、根本的な原因が判明しておりません。排便回数や、出血の度合いなど重症度によって軽症から重症に分類されます。10~20歳代の若年発症が唱えられてきた疾患ですが、近年では高齢発症も認められており注意が必要です。
原因が判明していないながらも、長年の研究により重症度に応じて治療方法が確立されており、様々な薬剤を駆使して治療を行います。自分に合った薬剤が選択されれば、発症前と変わらない生活に近づくことが可能です。
体自体が炎症にさらされ続けている状況のため、薬剤の定期的な投与が必要であり、血液検査や内視鏡などを含めた定期的な通院が必要な疾患です。 炎症のコントロールが困難な場合には腹部症状の持続を認め、また炎症がくすぶり続ける期間が長いことで若年者でも発癌が生じることがあります。ストレスにより症状の増悪を認めるため、薬物治療だけでなく日常生活では十分な休息をとるよう留意することが重要です。 疾患を疑った場合にはいつでもご相談ください。