南東北医療チームのひだまりレター
入院患者さんの褥瘡(床ずれ)予防の取り組み
褥瘡対策委員長 副院長 吉野 泰啓
高齢化社会に伴い入院患者さんも高齢化し、褥瘡発生リスクの大きい患者さんが増えてきました。総合南東北病院では20年以上前から「褥瘡対策委員会」を立ち上げ、現在も地道に活動し、入院患者さんの褥瘡の予防と治療を行っています。
1.褥瘡とは「寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと」と定義されています。「床ずれ」とも言われています。
2.褥瘡を発症しやすい方は、(1)長時間寝たきり(2)痛みやしびれを感じない(糖尿病などで神経障害のある)方(3)脳卒中後遺症などで運動障害のある方(4)栄養状態など全身状態が悪い方(5)皮膚が薄く弱い(高齢者、ステロイドを内服している)方などです。
3.上記のような方が入院した場合、注意しないと数時間で褥瘡が発症してしまいます。褥瘡はできてしまうと長期間治らないので予防が非常に重要です。 具体的には(1)体位変換を理想的には2時間ごとに行う(2)クッションや体圧分散寝具を効果的に利用する(3)栄養の評価を行い改善する(4)スキンケアを行う(5)速やかに現疾患の治療をして全身状態の改善を図るなどが必要になります。 従って褥瘡対策委員は、医師、看護師、栄養士、理学療法士、作業療法士、薬剤師など様々な職種で構成されています。現在毎月第2、第4 木曜日の13 時から委員会、回診、勉強会などを行っています。
4.褥瘡は、発症してから長期間放置してしまうと感染を伴い熱発し全身状態の悪化ひいては敗血症をきたして死亡することもあるので、入院時に必ず褥瘡の有無を確認するチェックリストにチェックを入れるシステムになっています。 褥瘡発生リスクの大きい患者さんの入院が増えているのに、以前のように骨まで達するような深い褥瘡が最近発生していないのは、褥瘡対策委員の努力によるものではないかと自負しています。
今後も褥瘡対策委員会は予防の取り組みを続けて参ります。