認定看護師コラム
脳卒中のリスクを下げる運動量について
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 澤邉 晃永
今回は脳卒中のリスクを下げる運動についてお話ししたいと思います。脳卒中とは①脳血管が破綻しておきる脳出血②そのほとんどが脳動脈瘤が突然破裂して起こるクモ膜下出血③脳血管に血栓などが詰まることで起きる脳梗塞の総称です。
日本人を対象に様々な生活習慣とがん、2型糖尿病、脳卒中、心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で行われたJPHC研究というものがあります。この研究において身体活動量※1と循環器疾患(脳卒中、冠動脈疾患)の関係を解析したところ一日の身体活動量が5メッツ※2×時間に増えると発症リスクが約30%程度急激に減少し、5-10メッツ×時間に増えるとリスクの低下は最大となるということが判明したとのことです。
ただし、運動量が増加すればするほど発症のリスクが低下するわけではないので注意が必要です。また、5メッツの運動強度とは、やや早い速度のウォーキングに相当します。これを毎日、1時間続けることは正直、心が折れてしまいそうです。それでもこの研究結果を知ることで、健康を意識して運動をすると一念発起した際に、どの程度運動することが安全で健康的なのかと一つの指標になるのではないかと考えられますので、ぜひ参考にしてください。
※1 身体活動量=運動強度(メッツ)×時間
※2 やや早い速度のウォーキング=5メッツ相当(約6km/時)